【健康コラム 95 】「食物繊維は多いほどいい?」話題の“ファイバーマキシング”から考える正しい腸活
「腸活のために、野菜をたくさん食べています」
「食物繊維は多ければ多いほど体にいいはず」
そんなイメージを持っていませんか?
最近、海外のSNSを中心に注目されているのが、食事の中で食物繊維を積極的に増やす「ファイバーマキシング(Fibermaxxing)」という考え方です。
食物繊維が不足しがちな現代人にとって、「もっと食物繊維を摂ろう」という方向性自体は決して悪いものではありません。
ただし、ここで注意したいのが、
「食物繊維は、多ければ多いほど腸にいい」わけではない
ということ。
今回は、流行のファイバーマキシングをきっかけに、意外と知らない「正しい食物繊維の摂り方」を考えてみましょう。
🌿 そもそも「ファイバーマキシング」とは?
「Fiber=食物繊維」と「Maxxing=最大限に高める」といった意味を組み合わせた言葉で、野菜、果物、豆類、全粒穀物などを積極的に取り入れ、食物繊維の摂取量を増やそうとする食事のトレンドです。
食物繊維は小腸で消化・吸収されにくく、大腸まで届く成分です。
便通を整えるだけでなく、食後血糖値の上昇を緩やかにしたり、コレステロールに働きかけたり、腸内細菌に利用されたりと、さまざまな役割があります。
実際、食物繊維を多く摂る食生活は、2型糖尿病や心血管疾患などのリスク低下との関連も報告されています。
つまり、食物繊維が重要なのは間違いありません。
では、たくさん摂れば摂るほど健康になれるのでしょうか?
📊 日本人は「足りていない」。でも目標は100点ではなくスタートライン
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食物繊維の目標量は、年齢によって異なりますが、おおむね
男性:1日20~22g以上
女性:1日17~18g以上
とされています。
一方、20歳以上の日本人の平均摂取量は1日18.1g。
さらに研究結果からは、生活習慣病予防の観点では1日25g以上摂取することが望ましいと考えられています。
つまり、多くの人にとって問題なのは「摂りすぎ」より、まず不足していることなのです。
だからこそファイバーマキシングの「食物繊維を意識して増やそう」という部分には、十分参考になる点があります。
⚠️ では、食物繊維を一気に増やすとどうなる?
ここが今回の重要なポイントです。
昨日まで食物繊維が少なかった人が、急に大量の野菜や豆類、全粒穀物、食物繊維入り食品などを食べ始めると、
お腹が張る
ガスが増える
腹痛が起こる
便がゆるくなる
など、かえってお腹の不調を感じることがあります。
「腸活を始めたのに、お腹の調子が悪くなった……」
という人は、食物繊維そのものが悪いのではなく、増やすペースが速すぎる可能性があります。
腸活では「いきなりMAX」を目指すより、今までの食事に少しずつ足していくことが大切です。
🫘 「何グラム摂ったか」だけでなく「何から摂ったか」
もう一つ知っておきたいのが、食物繊維はすべて同じ働きをするわけではないということです。
一般的には、食物繊維は大きく水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けて説明されます。
水溶性食物繊維は、水に溶けて粘りを持つものや、腸内細菌に利用されやすいものがあり、海藻類、大麦、果物などさまざまな食品から摂取できます。
一方、不溶性食物繊維は便のかさを増やす働きなどがあり、野菜、豆類、きのこ類などに多く含まれています。
ただ、「水溶性○:不溶性○」と細かく計算する必要はありません。
大切なのは、特定の食品だけで食物繊維を稼ごうとしないこと。
野菜だけではなく、
穀類+豆類+野菜+きのこ+海藻+果物
というように、いろいろな食品から摂ることが、結果的に食物繊維の種類を増やすことにつながります。
🍚 今日からできる「ゆるファイバーマキシング」
食物繊維を増やすために、食生活を大きく変える必要はありません。
たとえば、
白米の一部をもち麦にする
みそ汁にわかめやきのこを足す
サラダに豆をプラスする
おやつを果物にする
納豆を一品追加する
など、「今の食事に1品足す」くらいから始めてみましょう。
そして、食物繊維を増やすときには水分もしっかり摂ることがポイントです。
「今日から一気に30g、40g!」ではなく、まずは現在の食事に数グラム追加するくらいの感覚で十分です。
💡 腸活は「量の最大化」より「種類の多様化」
ファイバーマキシングという言葉を聞くと、どうしても「食物繊維をできるだけたくさん摂る」という部分に目が向きます。
しかし、本当に意識したいのは、
「どこまで増やせるか」ではなく、「無理なく続けられるか」
ということ。
食物繊維は健康づくりに重要な栄養成分ですが、急激に増やせば、お腹の張りやガスなどの原因になることもあります。
まずは自分の普段の食生活を振り返り、
少し増やす・いろいろな食品から摂る・水分も忘れない。
この3つを意識することが、流行に振り回されない「正しい腸活」の第一歩です。
ファイバーマキシングも、「MAXまで摂る」ではなく「不足を上手に補う」と考えて取り入れるのがちょうどいいかもしれません。
📌 今日から覚えておきたいこと
食物繊維は「多ければ多いほどいい」ではありません。
不足しがちな栄養成分だからこそ積極的に摂りたい一方、急激な増量はお腹の不調につながることがあります。
腸活で大切なのは、数字だけを追いかけることではなく、さまざまな食品から、少しずつ、毎日続けることです。

