【健康コラム 103 】寝ているときに足がつるのはなぜ?夜中のこむら返りの原因と予防法を解説

「夜中に突然、ふくらはぎがつって目が覚めた」「痛くて動けず、しばらく眠れなかった」そんな経験はありませんか?

足がつる症状は、一般的に「こむら返り」と呼ばれ、特に中高年や高齢者に多くみられます。

実は、寝ているときに足がつる原因は、水分不足やミネラル不足だけではありません。筋肉の疲労や神経の働き、足首の角度など、さまざまな要因が関係しています。

今回は、夜中に足がつる仕組みと、今日からできる予防法について、身体の専門的な視点を交えながら分かりやすく解説します。

🦵 そもそも「足がつる」とは、身体で何が起きている?

足がつるとは、筋肉が自分の意思とは関係なく、突然強く収縮してしまう現象です。医学的には「筋けいれん」と呼ばれます。

特に多いのが、ふくらはぎの筋肉である「腓腹筋(ひふくきん)」や「ヒラメ筋」に起こるこむら返りです。

通常、筋肉は神経からの指令を受けて縮んだり緩んだりしています。

しかし、何らかの理由で筋肉を動かす神経の興奮が高まると、筋肉が過剰に収縮し、うまく緩めなくなることがあります。

ここで重要なのが、筋肉の収縮を調整する神経の仕組みです。

私たちの身体には、筋肉が伸ばされたことを感知する「筋紡錘(きんぼうすい)」や、筋肉・腱にかかる力を感知する「ゴルジ腱器官」というセンサーがあります。

これらは筋肉の働きを調整する役割を担っていますが、筋肉の疲労などによって神経の興奮と抑制のバランスが乱れることが、こむら返りの発生に関係すると考えられています。

つまり、足がつるのは単に筋肉が硬くなっているのではなく、筋肉をコントロールする神経の働きも関係しているのです。

🌙 なぜ「寝ているとき」に足がつりやすいの?

日中は問題なく過ごしていても、夜中や明け方になると足がつるという方は少なくありません。

その理由の一つとして考えられているのが、睡眠中の足首の角度です。

寝ているとき、足首は自然とつま先が下を向く方向(底屈)になりやすくなります。

この姿勢では、ふくらはぎの筋肉が短くなった状態になります。

筋肉が短くなった状態では、筋肉や腱からの感覚情報が変化し、けいれんが起こりやすくなる可能性が指摘されています。

また、睡眠中は日中に比べて足を動かす機会が少ないため、同じ姿勢が続きやすくなります。

ただし、睡眠中のこむら返りは、こうした姿勢だけで説明できるわけではなく、原因がはっきりしない場合も多くあります。

💧 足がつる原因は「水分不足」だけではない!

こむら返りというと、水分不足やミネラル不足を思い浮かべる方も多いでしょう。

確かに、大量の発汗や脱水、電解質の異常が筋けいれんに関係する場合はあります。

しかし、一般的な夜間のこむら返りについては、水分やミネラルが不足していることだけが原因とは限りません。

特に、次のような要因が関係する場合があります。

  • 筋肉の疲労:長時間の歩行や立ち仕事、普段より多い運動などによる負担
  • 加齢に伴う変化:筋肉量や神経・筋肉の機能の変化
  • 長時間同じ姿勢でいること:足首やふくらはぎを動かす機会の減少
  • 薬の影響:一部の薬が筋けいれんに関係する可能性
  • 病気の影響:糖尿病、末梢神経の障害、腎臓の病気などが関係する場合

なお、「血行が悪いから足がつる」と説明されることもありますが、血流の問題がすべてのこむら返りの原因というわけではありません。

⚡ 足がつったときは、どうすればいい?

突然足がつったときは、慌てずに筋肉をゆっくり伸ばすことが基本です。

ふくらはぎがつった場合は、膝をできる範囲で伸ばし、つま先をゆっくり自分の身体の方向へ引き寄せましょう。

これは足首を「背屈(はいくつ)」させる動きで、縮んだふくらはぎの筋肉を伸ばすことにつながります。

手が足先まで届かない場合は、タオルを足裏にかけてゆっくり引く方法もあります。

痛みを我慢して強く引っ張ったり、急に立ち上がったりすることは避けましょう。特に高齢者の場合、夜間の転倒にも注意が必要です。

🌿 今日からできる!こむら返りの予防習慣

夜間のこむら返りを完全に防ぐ方法は確立されていませんが、日常生活で取り入れやすい対策があります。

① 寝る前にふくらはぎをストレッチ

壁に両手をつき、片足を後ろへ引いて、後ろ足のかかとを床につけたまま、ふくらはぎをゆっくり伸ばします。

20〜30秒程度を目安に、左右それぞれ無理のない範囲で行いましょう。

就寝前のストレッチが夜間のこむら返りを減らす可能性を示した研究もありますが、効果については研究結果が一致しているわけではありません。

② 日中に足首を動かす

長時間座りっぱなしにならないよう、足首を上下に動かしたり、軽く歩いたりする習慣を取り入れましょう。

足首を動かすことは、ふくらはぎの筋肉を働かせ、下肢の血液循環を助けることにもつながります。

③ 水分補給を意識する

特に高齢者は、のどの渇きを感じにくくなることがあります。

秋から冬にかけては汗をかく機会が減るため、水分補給を忘れがちです。

日中からこまめな水分補給を心がけましょう。ただし、水分を多く飲めば必ずこむら返りが予防できるわけではありません。

心臓や腎臓の病気などで水分制限がある方は、医師の指示に従ってください。

🔍 こんな「足のつり」には注意!

たまに起こるこむら返りは珍しいものではありませんが、次のような場合は医療機関で相談しましょう。

  • 何度も繰り返し、睡眠に支障が出ている
  • 足のしびれや筋力低下を伴う
  • 痛みが長く続く
  • 薬を飲み始めてから症状が増えた

また、片足だけに強い腫れや赤み、熱感、持続する痛みがある場合は、血栓など別の病気の可能性もあるため、早めの受診が必要です。

🌸 まとめ|足がつるのは、身体からの小さなサインかも

寝ているときに足がつるのは、必ずしも水分やミネラルが不足しているからではありません。

筋肉の疲労や神経の働き、足首の姿勢、加齢による身体の変化など、複数の要因が関係していると考えられています。

特に大切なのは、「足がつる=水分不足」と決めつけず、自分の生活習慣や身体の状態を振り返ってみることです。

寝る前の軽いストレッチや、日中に足首を動かす習慣など、できることから取り入れてみましょう。

夜中のつらいこむら返りを減らし、気持ちよく朝を迎えるために、毎日の小さなケアを大切にしたいですね。


📚 参考文献

  1. Allen RE, Kirby KA. Nocturnal Leg Cramps. American Family Physician. 2012;86(4):350–355.
  2. Hallegraeff JM, et al. Stretching before sleep reduces the frequency and severity of nocturnal leg cramps in older adults: a randomised trial. Journal of Physiotherapy. 2012;58(1):17–22.
  3. Garrison SR, et al. Non-drug therapies for the secondary prevention of lower limb muscle cramps. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2020.

※本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の診断や治療を目的としたものではありません。