【健康コラム 105 】味噌は体にいい?種類による違いと塩分を摂りすぎない食べ方
健康食品「味噌」に注目!赤味噌・白味噌・合わせ味噌の違いと、塩分を摂りすぎない上手な食べ方
日本の食卓に昔から欠かせない「味噌」。
味噌汁はもちろん、煮物や炒め物、田楽など、さまざまな料理に使われる身近な調味料です。
近年は、発酵食品や腸内環境への関心が高まるなかで、味噌の栄養価にも改めて注目が集まっています。
しかし、ひと口に味噌といっても、赤味噌や白味噌、米味噌や麦味噌など、その種類は実にさまざま。
さらに、「味噌は健康によいけれど、塩分が気になる」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、味噌の健康面での魅力、日本各地の味噌の違い、塩分を意識した選び方、そしてカリウムを活用した食べ方について、分かりやすくご紹介します。
🫘 ① なぜ今、味噌に注目したいの?
味噌は、大豆に麹と食塩を加え、発酵・熟成させて作る日本の伝統的な発酵食品です。
実は味噌の魅力は、単に「発酵しているから健康によい」ということだけではありません。
1. 大豆由来の栄養素を摂取できる
味噌には、大豆由来のたんぱく質や大豆イソフラボンなどが含まれています。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持つ成分として知られています。
ただし、味噌は一度に食べる量が少ないため、味噌だけで十分なたんぱく質を補えるわけではありません。
豆腐や納豆など、ほかの大豆食品と組み合わせることも大切です。
2. 発酵によって風味とうま味が生まれる
味噌の発酵・熟成では、麹菌が作る酵素などの働きによって、大豆や穀物の成分が分解され、アミノ酸や糖などが生まれます。
その結果、味噌特有の深いうま味や香りが形成されます。
このうま味を料理に活用すると、食塩やしょうゆを追加しなくても満足感のある味付けがしやすくなります。
3. 発酵食品として腸内環境の研究でも注目
味噌には発酵過程で生まれるさまざまな成分が含まれ、腸内環境との関係も研究されています。
ただし、一般的な味噌汁では加熱によって微生物の多くが失活するため、味噌を食べれば必ず生きた菌が腸に届くわけではありません。
また、味噌そのものに特定の病気を予防する効果が確立しているわけでもありません。
味噌は、野菜や大豆製品をおいしく食べるためにも役立つ、栄養面と調理面の両方に魅力がある食品と考えるとよいでしょう。
🗾 ② 日本各地の味噌はこんなに違う!
味噌は主に、使用する麹の種類によって「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」に分けられます。
さらに、原料の配合や熟成期間によって、色・甘み・香り・塩分量が変わります。
信州味噌(長野県)
米味噌の代表格。淡い山吹色で、ほどよい塩味とすっきりしたうま味が特徴です。
おすすめ:豆腐とわかめの味噌汁、野菜たっぷりの具だくさん汁
西京味噌(京都府)
米麹を多く使用した白味噌。塩味が比較的穏やかで、上品な甘みが特徴です。
おすすめ:白味噌のお雑煮、魚の西京焼き、野菜の味噌和え
八丁味噌(愛知県)
大豆を主原料とする豆味噌。濃い赤褐色で、濃厚なうま味と独特の渋みがあります。
おすすめ:味噌煮込みうどん、味噌田楽、さばの味噌煮
麦味噌(九州・四国など)
麦麹を使った味噌。麦由来の豊かな香りがあり、地域や製品によって甘みの強さが異なります。
おすすめ:豚汁、きゅうりの味噌ディップ、焼きおにぎり
仙台味噌(宮城県)
熟成による赤い色合いと、しっかりした塩味、豊かな香りが特徴の米味噌です。
おすすめ:なめこの味噌汁、根菜の煮物、肉の味噌漬け
「赤味噌」と「白味噌」は何が違う?
一般に、熟成期間が長くなるほど褐色が濃くなる傾向があります。これは、アミノ酸と糖が反応する「メイラード反応」などによるものです。
ただし、色が濃いから塩分が多い、白いから必ず減塩というわけではありません。
味噌の色だけで塩分量を判断しないことが大切です。
🧂 ③ 味噌の塩分はどれくらい?選び方のポイント
味噌の健康面を考えるうえで、気になるのが塩分です。
味噌は種類によって食塩相当量が異なります。以下は一般的な傾向を示した目安です。
| 味噌の種類 | 食塩相当量の目安(100g当たり) |
|---|---|
| 米味噌・淡色辛味噌 | 約12g |
| 米味噌・赤色辛味噌 | 約13g |
| 米味噌・甘味噌 | 約6g |
| 麦味噌 | 約11g |
| 豆味噌 | 約11g |
※日本食品標準成分表の代表的な食品分類を参考にした概数。製品によって異なります。
注目したいのは、味噌100g当たりの塩分だけでなく、実際に料理で何g使うかということです。
例えば、食塩相当量12%の味噌なら、使用量によって次のように変わります。
- 味噌6g → 食塩相当量0.72g
- 味噌10g → 食塩相当量1.20g
- 味噌15g → 食塩相当量1.80g
※味噌そのものに含まれる食塩相当量。だしや具材に含まれる分は別です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食塩摂取量の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満(いずれも1日当たり)です。
血圧が高い方などでは、1日6g未満の減塩が推奨される場合もあります。
味噌汁1杯だけでなく、漬物や加工食品、しょうゆなど、1日の食事全体で考えることが重要です。
味噌選びの3つのコツ
- 栄養成分表示を比較する:100g当たりだけでなく、1食当たりの食塩相当量にも注目しましょう。
- 減塩味噌も選択肢に:通常品より食塩を減らした商品を活用。ただし、減塩だからと使いすぎないことが大切です。
- だしのうま味を活用する:昆布・かつお節・干ししいたけなどを使うと、味噌が少なくてもおいしく仕上がります。
🥬 ④ 塩分対策のカギは「ナトリウム」と「カリウム」のバランス!
味噌の塩分を考えるとき、ぜひ知っておきたいのが「ナトリウム」と「カリウム」という2つのミネラルの関係です。
ナトリウムとカリウムは何をしているの?
体液量や神経・筋肉の働きを調整
ナトリウムの排出を促し、血圧調整を助ける
ナトリウムは食塩に多く含まれ、摂りすぎると血圧上昇につながることがあります。
一方、カリウムには腎臓からのナトリウム排出を促す働きがあり、血圧の調整に役立ちます。
つまり、健康的な食生活には、ナトリウムを減らすだけでなく、カリウムを不足させないことも重要なのです。
理想の割合は「ナトリウム1:カリウム1」?
ナトリウムとカリウムの摂取バランスを評価する指標に「ナトリウム・カリウム比(Na/K比)」があります。
研究では、ナトリウムが少なくカリウムが多い食生活、つまりNa/K比が低い状態が、血圧管理に望ましいと考えられています。
モル比で1:1程度以下は一つの参考になりますが、これはすべての人に設定された一律の食事目標ではありません。
また、モル比は重量比とは異なるため、単純に同じmg数を摂ればよいという意味でもありません。
日常生活では難しい計算をするよりも、次の2つを意識しましょう。
- ナトリウムを減らす:味噌やしょうゆ、加工食品などの食塩を控える。
- カリウムを十分に摂る:野菜、果物、いも類、豆類などを積極的に取り入れる。
厚生労働省の2025年版食事摂取基準では、成人のカリウム摂取の目標量は男性3,000mg以上、女性2,600mg以上(1日当たり)です。
ただし、カリウムを摂れば、食塩の摂りすぎを帳消しにできるわけではありません。あくまでも減塩と組み合わせることが基本です。
🍄 ⑤ いつもの味噌汁に「プラスワン」!おすすめの具材
味噌汁の魅力は、具材を自由に組み合わせられること。
カリウムを含む食材を加えれば、味噌汁をより栄養バランスのよい一品にできます。
ほうれん草・小松菜
カリウムに加え、ビタミンや食物繊維も補えます。彩りもよく、少量の味噌でも満足感のある一杯に。
じゃがいも
カリウムを含む身近な食材。自然な甘みが味噌の塩味を引き立て、食べ応えも増します。
しめじ・えのきなどのきのこ類
カリウムや食物繊維を含み、うま味も豊富。減塩しても物足りなさを感じにくくなります。
豆腐・わかめ
豆腐からたんぱく質を補い、わかめからミネラルを摂取。乾燥わかめは塩分を含む製品もあるため、表示や戻し方を確認しましょう。
おすすめは「具だくさん・味噌控えめ」
例えば、いつもの味噌汁に小松菜、しめじ、豆腐を加えるだけでも、栄養面が充実します。
具材のうま味や甘みが汁に溶け出すため、味噌の使用量を減らしてもおいしく食べられます。
また、汁の量を少なめにして具を増やすことも、塩分を抑える工夫の一つです。
腎機能が低下している方や、医師からカリウム制限を指示されている方は、カリウムを積極的に増やすことが適切とは限りません。
また、減塩調味料の中には食塩の一部をカリウム塩に置き換えた製品もあります。持病や服薬状況によっては注意が必要です。
🍲 ⑥ 味噌をもっと上手に楽しむための3つの習慣
① 味噌汁は「具を食べる料理」にする
野菜、きのこ、豆腐などをたっぷり加え、汁は控えめに。自然と食材の種類が増え、栄養バランスも整えやすくなります。
② 料理に合わせて味噌を使い分ける
甘みのある白味噌は野菜の和え物に、うま味の強い赤味噌は煮込み料理に。種類ごとの特徴を活用すると、味噌の使用量を抑えながら味に変化をつけられます。
③ 味噌だけでなく、1日全体の塩分を見直す
朝に味噌汁を飲んだ日は、ほかの食事で漬物や濃い味付けを控えるなど、1日の中で調整しましょう。
🌸 まとめ|味噌は「何を選ぶか」より「どう食べるか」
味噌は、昔ながらの発酵食品でありながら、現代の健康づくりにも活用できる魅力的な調味料です。
地域によって異なる味や香りを楽しめることも、日本の食文化ならではの魅力でしょう。
一方で、健康によいからといって、たくさん食べればよいわけではありません。
大切なのは、味噌の種類や塩分量を知り、野菜やきのこなどの食材と上手に組み合わせること。
今日の味噌汁に、いつもより一種類多く野菜を加えてみませんか?
その小さな「プラスワン」が、毎日の食生活を見直すきっかけになるかもしれません。
📚 参考資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
- 文部科学省「食品成分データベース」
- KDIGO「慢性腎臓病の評価と管理に関する診療ガイドライン(2024)」
※本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、特定の食品による疾病予防や治療効果を保証するものではありません。持病などにより食事制限が必要な方は、医師・管理栄養士の指示を優先してください。

