【健康コラム 32 】その息切れ、“年のせい”じゃないかも?COPDとたばこの深い関係
🌬️ COPDとは? 長く続く咳や息切れに注意
COPD(シー・オー・ピー・ディー)とは、長年にわたる喫煙などが原因で、肺の中の空気の通り道(気道)が細くなり、呼吸がしにくくなる病気です。
正式名称は「慢性閉塞性肺疾患」といいます。
肺は、酸素を体に取り込み、二酸化炭素を外に出す大切な働きをしています。
しかし、たばこの煙や空気の汚れが長く入り続けると、気道の壁が炎症を起こして傷つき、弾力を失ってしまいます。
その結果、空気をうまく吐き出せず、「息が苦しい」「少し動いただけで疲れる」といった状態になります。
初期のうちは、風邪が長引いているように感じたり、朝だけ咳が出たりと、症状が軽いため見逃されがちです。
しかし、放っておくと日常生活に支障が出るほど呼吸が苦しくなり、酸素吸入が必要になることもあります。
🚬 主な原因 ― 「たばこの煙」は肺にとって最大の敵
COPDの最大の原因は、やはり喫煙です。
たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれ、そのうち200種類以上が有害、さらに70種類以上が発がん性物質だといわれています。
これらの有害物質が肺の奥まで入り込み、長い年月をかけて少しずつ肺を傷つけていきます。
喫煙の本数や年数が多いほど、発症のリスクは高まります。
また、たばこを吸わない人でも、家族や職場で**「受動喫煙」**にさらされている場合、発症の危険はあります。
特に子どもや高齢者は影響を受けやすいため、家庭や職場の環境づくりも重要です。
🫁 初期症状を見逃さない ― 「年のせい」と思う前にチェック
次のような症状がある場合、COPDの初期かもしれません。
- 朝に咳や痰がよく出る
- 少し歩くだけで息切れする
- 風邪を引くと治りにくく、咳が長く続く
- 以前より階段の上りがつらい
これらは“加齢”ではなく、“肺が弱っているサイン”のことがあります。
呼吸機能検査(スパイロメーター)を受けると、肺の働きの低下がわかります。
早めの受診と診断で、進行を抑え、生活の質を保つことができます。
❌ 予防の第一歩は「禁煙」から
COPDの進行を止める最も確実な方法は禁煙です。
禁煙を始めた瞬間から、肺の傷つきは少しずつ止まり、症状の悪化を防ぐことができます。
ただし、長年吸っていた人ほど禁煙は簡単ではありません。
そのため、禁煙外来を利用するのがおすすめです。医師や看護師が、禁煙補助薬やカウンセリングを通じてサポートしてくれます。
また、家庭内での喫煙も見直しましょう。
家族が吸う煙(副流煙)も肺を傷つける原因になるため、**「家の中は禁煙」**というルールを作ることが大切です。
💪 運動療法で「息切れ」を減らす ― 動くことが“薬”になる
COPDの方の多くは、「動くと息が苦しいから」と安静にしがちです。
しかし、実は体を動かすこと自体が治療につながります。
呼吸のための筋肉(呼吸筋)や、全身を支える筋肉を鍛えることで、同じ動作でも息切れしにくくなります。
これは「呼吸リハビリテーション」と呼ばれる方法で、理学療法士などの専門家が指導を行います。
🔹 代表的な運動例
- 腹式呼吸の練習:お腹をふくらませながらゆっくり吸い、口をすぼめて長く吐く。
- 軽いウォーキング:1日10〜20分、息が上がらない程度に。
- 下肢筋トレ:椅子に座っての足踏みや、立ち上がり練習など。
定期的に行うことで、体力が維持され、外出や日常生活がぐっと楽になります。
🧣 日常生活でできる工夫
呼吸を守るためには、生活の中での小さな工夫も欠かせません。
- 体を冷やさない:寒いと気道が狭くなり、咳や息苦しさが悪化します。マフラーやマスクで冷たい空気を直接吸い込まないように。
- 感染症対策:風邪やインフルエンザは症状を悪化させます。手洗い・うがい・ワクチン接種を忘れずに。
- 栄養バランスを意識:呼吸に使う筋肉を保つため、たんぱく質(魚・卵・豆類など)をしっかり摂取。
- 室内環境の見直し:換気をこまめに行い、空気清浄機を活用すると◎。
🌈 まとめ ― 「息を守る生活」を今日から始めよう
COPDは、一度発症すると完全に治ることは難しいですが、進行を止めることはできます。
禁煙をきっかけに、運動や生活習慣を整えれば、息切れのない穏やかな日常を取り戻すことも可能です。
「最近、息が上がるようになった」と感じたら、それは体からの大切なサインです。
早めに医療機関で相談し、“息を大切にする暮らし”を今日から始めましょう。

