【健康コラム 30 】寒暖差が危険!冬に起こりやすい脳卒中・心筋梗塞の対策
◆ なぜ冬は「血管トラブル」が増えるのか
冬になると、外気温の低下によって体は熱を逃がさないようにします。
このとき血管が縮まり、血圧が上がりやすくなります。特に朝や夜など冷え込みが強い時間帯は、血管が急に収縮するため負担がかかります。
さらに、寒い屋外から暖かい室内へ、あるいはその逆のように急な温度差があると、血圧が乱高下します。
これがいわゆる「ヒートショック」と呼ばれる現象で、脳や心臓の血管に強い刺激を与えます。
また、冬は汗をかく機会が減ることで水分摂取量が減り、血液がドロッと濃くなりやすいのも危険要因のひとつ。
こうした条件が重なると、血管が詰まりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。
◆ 特に注意が必要な人
冬の血管トラブルは、誰にでも起こる可能性がありますが、次のような方は特に注意が必要です。
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症などの持病がある方
- 喫煙や多量の飲酒の習慣がある方
- 運動不足や肥満気味の方
- ストレスや睡眠不足が続いている方
- 高齢者や寒さを感じにくい方
これらの要因が重なることで、血管の弾力が失われたり、血液が固まりやすくなったりします。
特に高齢の方は体温調節機能が低下しているため、寒暖差の影響を強く受けやすくなります。
◆ 危険が潜む「日常の場面」
冬場の血管トラブルは、意外な日常動作の中で起こります。
- 起床時: 布団から急に出て冷気に触れると、血圧が一気に上がります。
- 入浴時: 冷えた脱衣所や浴室で急に熱い湯に入ると、血圧が急上昇。出た直後には急降下するため危険です。
- トイレ: 寒い場所で強くいきむと、血圧が急変し脳や心臓に負担がかかります。
- 外出時: 寒風に当たるだけでも血管が収縮します。マフラーや帽子で防寒を。
これらの場面を意識して**「急に冷やさない」「急に動かさない」**ことが大切です。
◆ 冬を安全に過ごすための予防習慣
🌡 温度差を減らす工夫
- 室内全体を温める: 脱衣所やトイレにも小型ヒーターを設置する
- 入浴前の準備: シャワーで浴室全体を温め、湯温は40℃前後に設定
- 起床時の工夫: 目覚めたらすぐ布団から出ず、布団の中で軽く手足を動かしてから起き上がる
🍽 食生活で血管を守る
- 塩分を控えめにして、出汁や香辛料を活かした味付けに
- 青魚(サバ・イワシなど)やナッツ類、海藻などを積極的に摂る
- 野菜・果物でビタミン・ミネラルを補う
- 冬でも水分をこまめにとる(温かいお茶やスープも効果的)
🚶♀️ 無理のない運動習慣
- 1日20〜30分のウォーキング、ストレッチ、ラジオ体操など
- 寒い朝は避け、昼の暖かい時間帯に行う
- 家の中でも立ち上がり運動や足踏みを取り入れる
運動は血流を良くし、血管をしなやかに保つ効果があります。
💤 睡眠とストレスケア
- 睡眠不足やストレスは血圧上昇の大きな原因
- 規則正しい生活リズムを保ち、深呼吸や入浴でリラックス
- 就寝前のスマホやカフェインを控え、心身を落ち着ける
◆ 前ぶれを見逃さない
脳卒中や心筋梗塞は、突然起こることが多いですが、前ぶれ症状が出ることもあります。
早めに気づくことで命を守れる可能性があります。
⚠ 脳卒中のサイン
- 片側の手足や顔がしびれる・動かしにくい
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 視界がぼやける、まっすぐ歩けない
⚠ 心筋梗塞のサイン
- 胸の痛み・圧迫感が数分以上続く
- 左肩や腕、背中にかけて痛む
- 冷や汗・息苦しさ・吐き気がある
これらの症状が出たらすぐに救急車を呼ぶことが大切です。
「少し様子を見よう」は禁物です。
◆ まとめ
冬は、寒さと温度差によって血管に大きなストレスがかかる季節です。
でも、日常の工夫次第でリスクは大幅に減らせます。
- 温度差をなくす工夫をする
- 塩分控えめの食事を意識する
- 軽い運動で血流を良くする
- サインを見逃さず、異変時はすぐに受診
体を温かく保ち、無理のない生活リズムを整えることが、何よりの予防になります。
寒さに負けず、元気に冬を過ごしましょう。

