【健康コラム 24 】水分不足に注意!冬の“隠れ脱水”対策
寒い冬、「喉が渇かないから大丈夫」と思っていませんか?
実は、冬こそ“脱水”に気をつけなければならない季節です。特に高齢の方は、体の仕組みや生活習慣の変化から水分不足になりやすく、知らないうちに体調を崩すケースも少なくありません。ここでは、冬に起こりやすい“隠れ脱水”の原因や症状、そして効果的な対策を詳しく解説します。
❄ なぜ冬でも脱水が起こるの?
「脱水」と聞くと、真夏の炎天下で汗をかくイメージがありますが、冬も油断は禁物です。原因は次のようなものがあります。
① 空気の乾燥で水分が失われる
冬の空気はとても乾燥しています。暖房を使うと室内の湿度はさらに下がり、皮膚や呼吸を通じて知らぬ間に水分が失われていきます。
② 喉の渇きを感じにくい
寒さで体温が下がると、体の“渇きセンサー”が鈍くなり、喉が乾いていても気づきにくくなります。そのため水分を摂る回数が減り、脱水に陥りやすくなります。
③ 尿の量が増える「冬の尿増加現象」
寒いと血管が縮み、血圧が上がります。体はバランスを取るために余分な水分を尿として排出しようとするため、結果的に水分が減ってしまいます。
④ 汗をかかない“つもり”でも失っている
「冬は汗をかかない」と思いがちですが、実は常に体からは“目に見えない汗”=不感蒸泄(ふかんじょうせつ)が出ています。高齢者ほどこの調節が難しく、水分不足を感じにくいのが特徴です。
👵 高齢者が特に注意すべき理由
高齢者の脱水は**「気づきにくく、進行しやすい」**という特徴があります。理由はいくつかあります。
- 体の水分量が減っている
高齢になると、筋肉量が減少し、体内の水分をためておく“貯水タンク”が小さくなります。若い人よりも脱水が進みやすいのです。 - 喉の渇きを感じにくい
感覚の低下により、喉が乾いても「水を飲みたい」と思いにくくなります。 - 飲む回数が減る
夜のトイレが気になって、水を控える方も多いです。その結果、昼も夜も水分が不足しがちです。 - 薬の影響
血圧や心臓の薬、利尿剤などを飲んでいる場合、水分が体から抜けやすくなることがあります。
⚠ 隠れ脱水のサイン
脱水は、最初は小さな変化から現れます。次のようなサインを見逃さないようにしましょう。
- 口や唇が乾く
- 舌がカサカサしている
- 尿の色が濃くなる(黄色や茶色っぽい)
- 便秘や頭痛が続く
- だるい、食欲がない
- 皮膚をつまむと戻りが遅い
さらに進行すると、ふらつき・めまい・集中力の低下・発熱などが見られ、重度の場合は意識がぼんやりすることもあります。
💧 冬の水分補給の工夫
① 喉が乾く前に飲む習慣を
喉の渇きを感じてからでは遅い場合があります。1日6〜8回、コップ半分〜1杯程度をこまめに飲むようにしましょう。
② 温かい飲み物で“飲みやすく”
冷たい水が苦手な方は、白湯やほうじ茶、麦茶などの温かい飲み物がおすすめです。体も温まり、一石二鳥です。
③ 食事からも水分を摂る
スープ、みそ汁、煮物、果物(みかん・りんごなど)には水分が多く含まれています。お食事の中で自然に補給できます。
④ 水分制限がある方は医師に確認を
心臓や腎臓の病気で水分制限がある場合は、主治医の指示に従い、摂取量を調整しましょう。
🏡 日常生活でのポイント
- 常に目につく場所に飲み物を置く
テーブルや枕元など、すぐ手に取れる場所に。 - 入浴後・起床時・就寝前は必ず1杯
特にお風呂の後は汗をかいています。入浴前後に一口ずつ飲むのが理想的です。 - 加湿器で部屋の湿度を保つ
湿度40〜60%を目安に保つと、喉や肌の乾燥も防げます。 - 声かけや記録も有効
ご家族や介護スタッフが「今お茶を飲みましょう」と声をかけることで、飲み忘れを防げます。施設では水分摂取の記録をつけるのも効果的です。
✅ まとめ
冬の脱水は“見えない危険”。
高齢者では、喉の渇きを感じにくく、体の水分を保ちにくいため、気づかぬうちに進行してしまうことがあります。
大切なのは、「喉が乾く前に、少しずつ飲む」こと。
温かい飲み物や汁物を上手に取り入れ、部屋の湿度を整えるだけでも大きな予防になります。
冬の健康を守る第一歩は、“水分補給の習慣化”です。

