【健康コラム 17 】免疫力アップで感染症予防!体を守る力を高める毎日の習慣
風邪をひきやすい、疲れが取れない、体調を崩しやすい…そんな悩みを抱えていませんか?これらは、体を守る大切な仕組みである「免疫力」が低下しているサインかもしれません。今回は、感染症から体を守るために知っておきたい免疫の仕組みと、日常生活で実践できる免疫力アップの方法を詳しくご紹介します。
そもそも免疫力って何?体を守る二段構えのシステム
私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るための「免疫システム」が備わっています。この免疫システムは、まるで城を守る二重の防御壁のように、二段階の仕組みで働いています。
第一の守り:生まれつきの防御システム
最初に働くのが「自然免疫」と呼ばれる仕組みです。これは生まれた時から誰もが持っている防御システムで、体に異物が侵入するとすぐに反応します。
具体的には、体の中をパトロールしている「見張り役」の細胞たちが、侵入してきたウイルスや細菌を見つけると、すぐにそれを食べて分解してしまいます。まるで警備員が不審者を見つけたらすぐに対処するように、素早く反応するのが特徴です。
第二の守り:学習する防御システム
もし第一の守りで対処しきれない場合、「獲得免疫」という第二の防御システムが発動します。この仕組みの素晴らしいところは、一度戦った相手を記憶できることです。
例えば、はしかや水ぼうそうに一度かかると二度とかからない、ワクチンを打つと病気を予防できるのは、この獲得免疫の記憶力のおかげです。初めて出会った病原体の情報を記録して、次に同じ相手が来たときには、より効果的に撃退できるように備えているのです。
なぜ免疫力は下がるの?現代生活に潜む落とし穴
私たちの免疫力を低下させる要因は、実は日常生活の中にたくさん潜んでいます。
睡眠不足は免疫力の大敵です。睡眠中に体は日中のダメージを修復し、免疫システムを整えています。十分な睡眠が取れないと、この大切なメンテナンス時間が削られてしまいます。
偏った食事も問題です。免疫細胞を作り、働かせるためには様々な栄養素が必要です。特定の食品ばかり食べていたり、極端な食事制限をしていると、必要な栄養が不足してしまいます。
運動不足や運動のしすぎも要注意です。体を動かさないと血液の流れが悪くなり、免疫細胞が体中をパトロールしにくくなります。一方で、激しすぎる運動は体にストレスを与え、かえって免疫力を下げてしまうこともあります。
ストレスも免疫力に大きな影響を与えます。精神的なストレスが続くと、体はストレスホルモンを出し続け、これが免疫システムの働きを邪魔してしまうのです。
体の冷えにも気をつけましょう。体温が下がると血液の流れが悪くなり、免疫細胞の活動が鈍くなってしまいます。
食事で免疫力を高める!体を作る栄養のチカラ
免疫力を支える基本は、やはり毎日の食事です。様々な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
タンパク質:免疫細胞の材料になる
免疫細胞そのものを作るために必要なのがタンパク質です。肉、魚、卵、大豆製品などから良質なタンパク質を摂りましょう。特に豆腐や納豆などの大豆製品は、消化しやすく毎日取り入れやすい食材です。
ビタミン・ミネラル:免疫システムを調整する
ビタミンAは粘膜を強くして、ウイルスの侵入を防ぎます。人参、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に豊富です。
ビタミンCは免疫細胞の働きを活発にします。果物や野菜から摂取できますが、熱に弱く水に溶けやすいので、生で食べたり調理時間を短くする工夫が必要です。
ビタミンDは免疫を調整する働きがあります。日光を浴びると体内で作られますが、魚やきのこ類からも摂取できます。
亜鉛は免疫細胞の成長と活性化に必要です。牡蠣、牛肉、ナッツ類に多く含まれています。
発酵食品:腸を整えて免疫力アップ
実は、免疫細胞の約7割は腸に集まっていると言われています。腸内環境を整えることが、免疫力アップの近道なのです。
ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどの発酵食品には、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。また、海藻やきのこ、根菜類などの食物繊維は、善玉菌のエサになり、腸内環境を良好に保ちます。
体を温める食材
生姜、にんにく、ネギなどの香味野菜は、体を内側から温め、血液の流れを良くしてくれます。料理の薬味として積極的に使いましょう。
質の良い睡眠で免疫力を回復させる
睡眠中、私たちの体は免疫システムのメンテナンスを行っています。この大切な時間を確保し、質を高めることが免疫力アップにつながります。
睡眠時間は7〜8時間を目安に
研究によると、7〜8時間の睡眠を取っている人は、睡眠時間が短い人に比べて風邪をひきにくいことが分かっています。睡眠時間が6時間未満になると、免疫力が低下するリスクが高まります。
質の高い睡眠のための工夫
朝の習慣:起床後すぐに太陽の光を浴びましょう。これにより体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。
日中の過ごし方:適度に体を動かし、日中は活動的に過ごすことで、夜の深い眠りにつながります。
夜の準備:就寝3時間前までに食事を済ませ、寝る1〜2時間前にぬるめのお風呂に入ると、体温の自然な低下が眠気を誘います。
寝室環境:暗く、静かで、快適な温度(16〜19度程度)に保たれた環境が理想的です。
避けるべきこと:寝る前のスマホやパソコンの使用は、画面の光が脳を興奮させ眠りを妨げます。カフェインやアルコールも控えましょう。
適度な運動で免疫細胞を活性化
運動は免疫力を高める効果的な方法ですが、「適度」であることが重要です。
おすすめの運動
ウォーキング:1日30分程度の軽い散歩は、血液の流れを良くし、免疫細胞の活動を活発にします。
ストレッチやヨガ:筋肉をほぐし、深い呼吸をすることで、リラックス効果も得られます。
軽い筋力トレーニング:週に2〜3回、自宅でできる簡単な筋トレも効果的です。
運動のポイント
「息が少し弾む程度」が目安です。会話ができるくらいの強度で、無理なく続けられることが大切です。逆に、激しすぎる運動は体にストレスを与え、一時的に免疫力を下げることもあるので注意しましょう。
定期的に運動している人は、風邪などの感染症にかかりにくく、かかっても症状が軽いという研究結果も報告されています。
体を温めて免疫細胞を活性化
体温が1度下がると、免疫力が30%以上低下するとも言われています。体を温めることを意識しましょう。
お風呂の活用
38〜40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、体の芯から温まり、血液の流れが良くなります。これにより免疫細胞が体中を巡りやすくなります。
冷え対策
首、手首、足首の「三首」を温めると、効率的に体全体が温まります。冬場はもちろん、夏場のエアコンによる冷えにも注意が必要です。
温かい飲み物を飲む、腹巻きを使う、足湯をするなど、日常的に体を温める習慣を取り入れましょう。
ストレスを上手に解消する
慢性的なストレスは免疫システムの働きを弱めます。ストレスをゼロにすることは難しくても、上手に解消する方法を見つけることが大切です。
効果的なストレス解消法
笑うこと:笑うと免疫細胞が活性化することが研究で明らかになっています。お笑い番組を見たり、友人と楽しく過ごす時間を大切にしましょう。
趣味の時間:好きなことに没頭する時間は、心をリフレッシュさせます。
自然に触れる:公園を散歩したり、緑に触れることもストレス軽減に効果的です。
深呼吸や瞑想:1日5分でも、ゆっくり呼吸に意識を向ける時間を作ると、心が落ち着きます。
今日から始める免疫力アップ習慣
免疫力を高めるための特別な方法はありません。大切なのは、これらの基本的な生活習慣を毎日コツコツと続けることです。
バランスの取れた食事、質の良い十分な睡眠、適度な運動、体を温めること、ストレスの解消――これらは一つひとつは小さなことかもしれませんが、継続することで確実に体の防御力を高めてくれます。
完璧を目指す必要はありません。できることから少しずつ取り入れて、自分に合った健康習慣を見つけていきましょう。免疫力は一朝一夕には上がりませんが、日々の積み重ねが、感染症に負けない強い体を作ってくれるはずです。

